グリーンスパン 何でも知っている男
によって セバスチャン・マラビー
4.2 5つ星のうち(2人の読者)
グリーンスパン 何でも知っている男 epubダウンロード無料 - 内容紹介 「マエストロ」は、なぜ間違ったのか? 金融危機を境に評価が一変した稀代のFRB議長の人生と時代を描き切り、中央銀行の本質的な課題を明らかにした傑作! FT/マッキンゼー「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー」受賞! ■ジャズ音楽家からエコノミストに転身、リバタリアン・自由放任の哲学を信奉した時代を経て、経済通の実証派エコノミストとして歴代政権と関わる中で信頼を確立。政治的な駆け引きの力も発揮し、「何でも知っている男」としてアメリカの中央銀行、連邦準備理事会(FRB)議長に就任。内外の経済危機を乗り越え、「大いなる安定」を実現し、「マエストロ」「万能議長」という名声も獲得する。だが、2008年金融危機を契機に「悪党」としての烙印さえ押され評価は失墜する――。 ■幼少期からエコノミスト、政治的人間としての歩み、連邦準備理事会議長としての軌跡、金融危機に至る経緯を、アメリカ経済・政治の変容と重ね合わせて描く。徹底した取材で読ませる文章を書くジャーナリストが、本人へのほぼ無制限での取材、5年にわたる取材・調査・執筆によって掘り起こした事実関係をもとに、スクープ級の発見も含めてバランスよくグリーンスパンの人生と時代を描き出す。グリーンスパン自身も「必ずしも私のことを好意的には扱っていないが、正しく書けている」と最大級の賛辞を送っている。 ■「何でも知っている男」グリーンスパンは、誰よりも市場の効率性を疑い、その非合理的な側面、バブルの必然性について認識していたのに、なぜ危機の発生を防ぐために行動しなかったのか? 金融の安定(資産価格、金融システムの安定)と物価の安定は、どうすればともに実現できるのか? グリーンスパンにできなかったことを将来世代は達成できるのか? ■若き時代には連邦準備制度の創設を「アメリカ史における歴史的な惨事」と評した人物自身が中央銀行を司るに至ったプロセス、その思考、観察と行動を通して、現代の中央銀行が直面する重大な問題を浮き彫りにする。金融の未来を展望するための洞察に富むと同時に、民主主義社会における、傑出した人物をめぐる人々の崇拝と慢心、その失敗に対する無慈悲な批判、錯覚に警鐘を鳴らす。 欧米メディアなどで相次ぐ本書への高い評価! ○ジョージ・S・エクルズ経済文献賞受賞、ニューヨーク・タイムズ紙2016年注目図書、外交問題評議会2016年最優秀図書、エコノミスト誌2016年優秀図書 ○「グリーンスパンのキャリアだけでなく、50年にわたるアメリカ経済の成功と失敗をめぐる物語を描いた傑作」(ウォールストリート・ジャーナル) ○「多くの人に薦めたい……この本はフェドウォッチャーだけでなく、戦後のアメリカ経済や政治の歴史に関心のある人なら誰でも楽しめるだろう」(ベン・バーナンキ) ○「素晴らしい……マラビーはグリーンスパンがいかにして頂を極めたのかを描いている。それは、面白い物語以上のものだ」(ニューヨーク・タイムズ) ○「戦後の国際金融の世界で最も重要だと言ってもよい人物についての魅力的でバランスのとれた研究だ」(マーヴィン・キング) 内容(「BOOK」データベースより) 「マエストロ」は、なぜ間違ったのか?金融危機を境に評価が一変した稀代のFRB議長の人生と時代を描き切り、中央銀行の本質的な課題を明らかにした傑作!FT/マッキンゼー「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー」受賞!ジョージ・S・エクルズ経済文献賞受賞、ニューヨーク・タイムズ紙2016年注目図書、外交問題評議会2016年最優秀図書、エコノミスト誌2016年優秀図書。 著者について セバスチャン・マラビー著作家。米外交委評議会国際経済担当ポール・ヴォルカー・シニア・フェロー。 著書にフィナンシャル・タイムズ紙とマッキンゼーの共同選考で2016 年の最優秀ビジネス書に選ばれた本作品(The Man Who Knew: The Life & Times of Alan Greenspan)のほか、More Money Than God: Hedge Funds and the Making of a New Elite(2010年、邦訳『ヘッジファンド:投資家たちの野望と興亡I、II』楽工社)、ジェームズ・ウォルフェンソン総裁時代の世界銀行を描いたThe World's Banker: A Story of Failed States, Financial Crises, and the Wealth and Poverty of Nations(2006年)、人種隔離政策(アパルトヘイト)撤廃後の南アフリカの課題を指摘したAfter Apartheid: The Future of South Africa(1993年)がある。オックスフォード大学で近現代史を学び、1986年の卒業後、エコノミスト誌に入り、南アフリカ、日本の駐在を経て1997-99年にワシントン支局長。1999年にワシントン・ポスト紙に移籍し、現在もコラムを持つ。夫人はエコノミスト誌編集長のザニー・ミントン・ベドーズ氏。村井 浩紀1984年に日本経済新聞社入社。ヒューストン、ニューヨーク、ロンドンに駐在。経済解説部長などを経て2018年から日本経済研究センター・エグゼクティブ・フェロー。訳書にジョセフ・S・ナイ『アメリカの世紀は終わらない』(日本経済新聞出版社、2015年)、カート・キャンベル『THE PIVOT アメリカのアジア・シフト』(日本経済新聞出版社、2017年)などがある。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) マラビー,セバスチャン フォーリン・アフェアーズ誌の発行元として知られる外交問題評議会の上級研究員(国際経済担当)でジャーナリスト。著書にフィナンシャル・タイムズ紙とマッキンゼーの共同選考で2016年の最優秀ビジネス書に選ばれた“The Man Who Knew:The Life & Times of Alan Greenspan”ほか。オックスフォード大学で近現代史を学び、1986年の卒業後、エコノミスト誌に入り、南アフリカ、日本の駐在を経て1997~99年にワシントン支局長。1999年にワシントン・ポスト紙に移籍し、現在もコラムを持つ。夫人はエコノミスト誌編集長のザニー・ミントン・ベドーズ氏 村井/浩紀 1984年に日本経済新聞社入社。ヒューストン、ニューヨーク、ロンドンに駐在。経済解説部長などを経て2018年から日本経済研究センター・エグゼクティブ・フェロー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
グリーンスパン 何でも知っている男の詳細
本のタイトル : グリーンスパン 何でも知っている男
作者 : セバスチャン・マラビー
ISBN-10 : 4532176565
発売日 : 2019/3/26
カテゴリ : 本
ファイル名 : グリーンスパン-何でも知っている男.pdf
ファイルサイズ : 28.72 (現在のサーバー速度は18.73 Mbpsです
以下は グリーンスパン 何でも知っている男 の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
「究極のSurvival Specialist」greenspanが日経の「私の履歴書」に出たのは、もう10年ほど前でしょうか。著名な経済人はこの「私の履歴書」にでるとだいたいその後に当人の評判が低落するというのがこの世の鉄則です。古くは長銀の杉浦敏介氏、三越の坂倉氏、ダイエーの中内氏、スハルトといい、このリストは死屍累々と言ったところでしょうか。結局はgreenspanもこの法則から外れることはありませんでした。まー冗談は別として、本体が約650ページ、詳細なしかし結構重要なことがたくさん書かれている注が細かい字で100ページの大作です。「Kissinger: 1923-1968: The Idealist」と同じように、必然的に電車の中で読むというわけにはいかず、出勤前のexcelsiorでちまちまとひと月かけて読むということに相成りました。greenspanもユダヤ人で、1987年以降20年近くFedのchairmanだったわけで、そういう意味では、外交軍事戦略だけでなく経済の領域でもユダヤ人移民の子がアメリカの重要な進路を任されていたというわけです。kissingerの時代は1969年から1976年という時間的には限られていたのに対し、greenspanはfed chairmanだけで1980年代から2000年代の半ばまでと20年にも及んでおり、経済が政治の主要な議題となった時代のほぼすべてを網羅しているというわけです。本書の特色は時代の射程の長さです。もちろん取り扱いの比重は異なりますが、1920年代の大恐慌直後から50年代、60年代、70年代のようなもはや忘れ去られてしまった時代の論争だけでなくその後の主要な経済的論点が、主人公の生涯と絡めてわかりやすく語らて行きます。私自身はgreenspanという人物が、「Ayn Rand and the World She Made」という作品に出てきて仰天してきた記憶があるのですが、本書ではayn randとの関わりも触れられています。第二点は、政治(大統領選挙)と経済の交錯が本書では詳細にそして臨場感をもって再構成されている点です。データ、データの解釈、政策への昇華、時々の政権の政治的なagendaとの齟齬と対立、個人の持つ価値観・信条と個人的なキャリアの利害との矛盾とその処理、そして誰にも予測できない経済の動き、これらがいろいろなケースを題材として見事に描写されていきます。政治は可能性の技術だといわれていますが、経済政策もそうなのです。そしてこれらの描写から浮かび上がるのが主人公の不思議な姿なのです。タイトルでも示唆されているように、主人公はthe man who knewなのです。ちまたで描かれる単純な市場主義者では決してなく、それぞれの時代の抱えた問題点(financial leverage, financial stability, mortgage bubble, regulation in disarry )と時代のリスクを相当正確に把握していた人物がgreenspanなのです。システミックな危機の局面ではいつもbail outやgovernment supportを強力に進めたのがfed chairmanなのです。彼の判断を特徴づけるのは2つの特徴です。一つは政策の政治的な実現の可能性への醒めた認識です。究極のpolitical manipulatorともいうべき主人公はいつも政治の場の力関係を冷静に把握し、その時点で政治的に実行不可能であろう政策(derivative regulationやregulatory agenciesの整理)には当人の認識とは別に積極的に加担することはありません。一方で、経済の現実に対しては不可知論ともいうべき謙虚な認識を持っているのです。データの詳細な収集や分析に相当な努力を惜しむことはしませんが、最終的には彼の結論はいつも「よくわからない」という市場への醒めた認識に裏付けられたものす。この2つの特徴が生み出したものは、金利のmicro manageによる対応と勝ち目のない無駄な政治的な戦いの回避なのです。その結果が20年近くにもわたるfed chairmanとしての在位記録というわけです。前の時代から引き継いだprice stabilityというagenda,そして経済成長の陰でひそかに蓄積されたasset bubbleが明らかにした新しいfinancial stabilityというagenda.この2つの取り扱いをめぐる交錯の中で主人公はfedを去ることとなります。これは大変な力作です。これ程の作品を企画し、research assistantを動かし、このような形で作品に仕上げた著者の力量は大したものです。アメリカの「council on foreign relations」からはいつもこのような力作が出てきますね。
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