日葡辞典 第1 A‾K 復刻版
によって 野田 良次
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日葡辞典 第1 A‾K 復刻版の詳細
本のタイトル : 日葡辞典 第1 A‾K 復刻版
作者 : 野田 良次
ISBN-10 : 4641002533
発売日 : 1963
カテゴリ : 本
ファイル名 : 日葡辞典-第1-a-k-復刻版.pdf
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外国語辞書を思う時、いわゆる逆引き辞典(母語から当該外国語に置き換える辞書)は脇役的な位置付けに甘んじて、どんなに内容が優れていても、決して人目に触れることがないのが常である。それは、当該外国語をまず母語で理解することが優先されるからである。しかし、その外国語の母語話者から見ればどうだろうか。逆引き辞典こそが主役で、まずもって必要不可欠な生活必需品ではなかろうか。この辞書の著者の狙いは、まさにこの視点からの、すなわち、ポルトガル語を母語とする人々が日本語を理解するための大いなる一助としたいという心よりの願いなのである。歴史的に見れば、これはブラジル・日本両国の懸け橋となるべく編纂された、あの大武和三郎氏の葡和新辞典(1918/改定 1937)のいわばアンチテーゼの意図をもって企画され、その夢に向けての実現であり、それによって、両国国民の文化・言語の相互理解(Reciprocidade)を全うしようとしたのである。この辞書の初版(上下二巻からなり、全1196ページ)は、1963年(昭和38年,上巻)と1966年(昭和41年,下巻)のことである。出版社がなんと有斐閣である。有斐閣は社会科学系出版物の老舗の名門であるが、本来、語学出版物を扱うところではない。その時代からすれば、大学書林がその責務をもって出版に当たるのが妥当なところであったろう。しかし、そうはならなかったのは、上に挙げたような事情、すなわち、まずもって日本語母語話者の利便性に供する辞書への渇望が優先されたからではないか。その点、有斐閣には、そういった障壁がなく、ただ理念に燃えて、結果として、そうなったのだと思われる ( 御子息の尽力も相当あったそうである)。著者は1875年生まれの元外交官の方で、メキシコ、ペルー、チリ、ブラジル等で在外勤務された。この辞書,上巻が上梓されたとき、氏はなんと88歳であった。先達たちの強靭な意志と精神力にはただ敬服するばかりである (注目すべきは、このような偉業を達成する人は大学関係者ではなく、野心に燃える在野の人であるという事実である )。その高齢にもかかわらず、序文にて、将来的には訂正や不備を改め、改定・増補版を出して完璧を期したい旨、熱く語られていたが、その5年後(下巻発行から2年後)、氏は改訂版を見ることなく、逝去された。この辞書は、上に挙げたようにポルトガル語の母語話者向けに編まれたものである。したがって、最近の日本人向けの日葡辞典とは性格が著しく異なっており、むしろ内容的にはポルトガル、ブラジルで編纂されている葡葡辞典のコンセプトに近い。定義 (語彙の本来的意味, 概念) が与えられ、それに該当する語彙、類義語が可能な限り列挙されており、葡葡辞典を読み慣れている方なら座右の書としても興味深く読めるだろう。すなわち、ポルトガル語を真に極めようとする人たちの格別な教養書としていつも傍らに置かれて繙かれるのが理想形だろう。定義の説明は著者自身の言葉で書かれているが、その語学レベル(その語感、言語感覚)が凄まじい。母語の影響を極力排除した多義的語彙の選択、ボキャブラリーの幅の広さ、同一語彙の重複を避ける気遣い、慣用的な表現の使い方などなど。É desiderato do autor dar a esta modesta obra..と続く prefácio最終部は思わず唸ってしまった。執筆を開始した(1949年から,氏74歳 )当時はまだポルトガル語普及の黎明期にあり、その勉学環境はまったく貧弱の如きで、辞書さえ心細い時代なのである。Advertênciaにおける氏の格調高い文章にもまた圧倒されるばかりである。自分自身も、書くことにおいては誰にも引けを取らないが(?)、氏には脱帽である。私自身もその年になるまでには氏と同等のレベルになりたい、と切に願った次第である。最後に、下記に本文から例をひとつ紹介しておこう。➡コメント欄をご覧ください。
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