解読ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 (講談社選書メチエ)
によって 橋本努
4.3 5つ星のうち(3人の読者)
解読ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 (講談社選書メチエ)電子ブックのダウンロード - これならわかる!『プロ倫』はなにを解き明かしたのか? いま受け取るべきメッセージはなにか?超難解書の全体像と核心が明快にわかる、驚異の解説書が登場。これが、ウェーバーの言いたかったことだ!《冒頭10頁強で、ウェーバーってどんな人&『プロ倫』のあらすじが、ざっくりわかる!》《基礎知識から "ライバル" ゾンバルトやマルクス主義とのわかりやすい対比まで、たのしくわかるコラム満載!》『プロ倫』は「プロテスタンティズムと資本主義の発展の関係」を論証したとされるが、本当にその試みは成功していたのだろうか? いまなお読み解くべき意義があるのだろうか? そんな素朴かつ核心的な問いをスタート地点にして、ウェーバーの論考のエッセンスを、クリアーで平明な文章で徹底解説。宗教改革によって勃興したプロティスタンティズムは、「天職」という概念や、神が誰を救うか/救わないかをすでに決めているという「二重予定説」なる教説を生み出した。快楽を排しひたむきに貨幣獲得に生きがいを見いだすような精神が生まれ、資本主義社会が発展していくが、しかし資本主義が爛熟すると崇高な精神が失われてしまう――ここに、ウェーバーの問題意識の核心があった。そして、その問いと思考は、現代における新保守主義という思想と響き合うものだった。市場経済の発達が加速度を増し、その行く末を誰も見通すことができなくなりつつあるいまこそ、近代とは、資本主義とはなにかを正面から考えた『プロ倫』のエッセンスを読もう!【本書の内容】序章 ウェーバーってどんな人?第1章 「問題」はどこにあるのか?第2章 資本主義の精神とはなにか?第3章 「天職」の概念が生まれた第4章 禁欲的プロテスタンティズムの倫理とはなにか? -1-第5章 禁欲的プロテスタンティズムの倫理とはなにか? -2-第6章 天職倫理と資本主義第7章 現代社会で生きる術を考える補論
解読ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 (講談社選書メチエ)の詳細
本のタイトル : 解読ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 (講談社選書メチエ)
作者 : 橋本努
カテゴリ : 本
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マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を著者独自の視点で読み解く本である。著者は、プロテスタンティズムの「倫理」と「天職概念」の乖離を説く。この場合、「倫理」とは禁欲的職業倫理のことである。それは、浪費や奢侈を戒め、営利蓄財を肯定する。このように捉えられた禁欲的職業倫理が資本主義の精神的エトスとなったと理解されてきた。一方、「天職概念」は、商工業者が自己の職業を神から与えられた天職として受け止め、職業に励むことが、神の栄光を増す行為とみなされたと説く教えである。中世以来の営利蓄財を人間の貪欲とみなし、商工業を卑しい行為として否定する職業倫理に対するアンチテーゼとして高く評価されてきた。なぜ著者は「倫理」と「天職概念」を切り離すことが『プロ倫』理解に必要であると述べるのか、本書の核心的部分については本書を丁寧にお読みいただきたい。ウェーバーが説く宗教社会学的論点、つまりプロテスタンティズムばかりを強調しては片手落ちになると思われる。つまり、精神的エトスのみで資本主義が生まれたわけではない。それ以上に重要なのは、資本主義成立の歴史的諸条件である。封建制の解体、労働者階級(プロレタリアート)を生み出した農奴解放、イギリスにおける毛織物工業発展による資本の本源的蓄積、近代科学と技術の発展、資源や工業原料の獲得、国内外の市場の形成など、マルクスが『資本制生産に先行する諸形態』で究明した資本主義成立のための物質的諸条件の解明である。強く感じることは、資本主義成立の解明には、ウェーバーとマルクス両者の研究が互いに補完し合うような成果をあげることである。こうした研究は、近年は低調であるように思われる。ウェーバーの宗教社会学研究は、世界宗教の経済倫理となって結実した。宗教社会学的見地から、ウェーバーの研究についていくのは至難の業である。著者の研究を完成させるためには、ユダヤ教・キリスト教はもとよりヒンドゥー教や仏教、儒教や道教までカヴァーする必要がある。一人の研究者の力量では困難に近い。しかし、ウェーバーの宗教社会学を研究するのはそこまでの力量が求められる。理念型の世界史への適用だけでは解決しない難問である。しかし、本書はウェーバー『プロ倫』の核心に迫る好著である。ウェーバーに関心ある人にとって、必読の文献だ。
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